運動オンチでもプールなら案外楽しい

これはプール帰りの風景

「あたし運動オンチでぇ〜」
という若い女は、まあ大抵ふつうだ。私の運動オンチは本当に情けない。オンチの格が違う。
球技は基本的にボールを目で追うことしかできない。手が出ない。足も出ない。基本ぶつかる。あわあわする私は障害物でしかない。球技に味方などいない。私は邪魔者である。
生まれてこの方『シュート』など知らない。あんなもの、無理である。全身運動+思考+ボールテク…不可能だ。
とにかく私は、頭と身体がかみ合っていない。
頭と手先だけに集中すれば、無駄に器用だった。卓球は強かった。上手だった。親に卓球台を買ってもらい、休日もポコポコやっていた。
しかし、相手に勝つという意思が弱すぎた。地区大会の3試合目あたりで勝つのがめんどうになり、後は適当に負けた。
運動なんか大嫌いだった。
ラソンは常に後ろから2番目。幅跳びも円盤投げも常に後ろから2番目。ダンスは発表会をボイコットし、運動会はクラスメイトからの非難の声に憎しみを抱いていた。体育の成績だけは上げる気がまるで起こらなかった。1でドンマイ、2で普通、3で奇跡、4は…見たことが無い。10段階で。
そんな私が最近プールにはまっている。きっかけは搬送。119。
痛みや苦しみにはめっぽう強いはずが、ついに、身体が勝手に倒れやがった。意識が飛ぶ。何度も飛ぶ。気付くと誰かに囲まれている。救急隊のお兄さんにはまぁ色々ときめいたけれど、これではまずいと本気で思った。健康にならなきゃ他人に迷惑をかけてしまう。そんなのプライドが許さぬ。この身体にも責任を持たねば…と。
したら泳ぐのめっちゃ楽しいわけで、思いがけない趣味まで見つけてしまった。最初はそりゃあ下手だったけど、「無駄(水の抵抗)をいかに削るか」に懲りまくっていたら、すっかりプーラー(スイマーの一種)になっていた。8かきで25mを平泳ぎで行ったりきたりし、50mコースをクロールで泳ぎ果たし、7時間もプールにこもる始末。(ご婦人の立派な腹を蹴った時には挫折しかけたけど…)
全体的に筋肉質になった。体力ついた。楽しいからおすすめ。プールは素晴らしい。